学童保育

高学年の雰囲気≒学童の雰囲気

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 低学年の利用が増加の一途をたどっている学童保育において、高学年という存在も徐々に増え始めています。昔は、そもそも学童なんてマイナーで学校が終われば、すぐに公園や友達の家に遊びに行ったものです。地域のコミュニティーもおあり、何かすれば知り合いのおじさんおばさんに怒られる。時には、知らない人にも注意される。そうやって地域で子供を育む環境が自然とできていたのです。それが今では、地域間のネットワークは希薄なものになり、知らない子に声をかけるだけで通報されるレベルにまで、人のコミュニティは最小限になっています。これが、良い悪いではなく、時代の流れであるとしか言いようがありません。では、なぜこうなっていったのか。理由はいくつかありますが、①習い事の増加、②遊ぶ環境の減少、③ひとり遊びの発達、④治安の悪化が主な原因ではでしょうか。一つずつ見ていくと

①習い事の増加
出生率が低下し続けている日本において、いまや一人っ子は珍しいものではありません。昔は何人も兄弟がいたので、みんなに習い事をさせるにもたいへんだったでしょう。しかし、1人2人であれば、なんとか頑張れば習い事をさせてあげられるのでしょう。現に、子ども一人当たりにかけられる教育費は昔に比べてだいぶ上昇していますし、習い事も1つ以上やっている子の方が圧倒的多数です。中には3つ4つやる子もいます。
 そんなに習い事をしては、地域で遊ぶ時間を作るほうが難しいですね。最近の小学生は多忙な様子。

②遊ぶ環境の減少
 最近の日本は責任逃れが目立つように思います。昔は「我が子の責任は親の責任」スタイルでした(それも極端に思いますが・・・)が、今は「我が子の責任は預かっている側の責任(学校・保育所等)」となってしまっています。現に教育現場では、今や親の方が教師より強いという現象が起こっています。そして、ここで問題がおこります。放課後に公園で遊んでいてケガをする。これは誰の責任になりますか。親ですか?学校ですか?公園を整備している行政ですか。これはケースによりますが、最近の親の中には、これで行政や学校にクレームを入れる方が増えている。結果、けがをしない公園が作られる。そこには遊具等はなくただの広いスペース。では、次の問題です。広いスペースでサッカーをしました。盛り上がって高揚した子供の声が聞こえています。元気いっぱいです。しかし、静かな環境が好きな方が公園で遊んでいる子の声に腹を立てて苦情を伝える。悪いのは子供ですか?学校や行政?苦情を入れた人?ちなみに結果的に公園でサッカーや騒ぐのが禁止になります。これが今の日本ではないでしょうか。もちろん地域差もありますが、問題を起こされないように芽を摘み取った結果遊ぶ場所は少なくなります。
 この他にも、都市開発が進んで、空き地が減少したりと様々な理由がありますが、子供の声はとても弱い。そのせいで知らずに子どもの環境を奪っています。

③ひとり遊びの発達
 これはもういうまでもありません。人類は電子機器を進化させすぎた。いや、正確には電子機器を活用したエンターテインメントを発達させすぎました。
YouTube、ゲーム、スマホ、ソシャゲ、ネット等今や外に出なくても家の中で十分暇をつぶせます。前述した①、②もあって、YouTube等のコンテンツを見る人が余計に増えたと思いますね。今やリアルで会わなくてもつながることが可能です。日本だとLINEをやっていない人の方がレアですからね。ソシャゲが普及して、集まってゲームしなくてもオンラインで友達とゲームできますし、子どもの集中力はこういう部分で遺憾なく発揮されるので、もはや中毒レベルで見ることもできます。

④治安の悪化
これは、ずっと言われていることですが、世界と比べれば日本は治安の良い国かもしれませんが、国内ではそんな意識はありません。SNS等も普及しむしろ犯罪は陰湿化してきています。最近では教師や保育士の犯罪もニュースで大きく取り上げられ、子どもに関わる人の中にも一定数犯罪を犯すものがいるという認識が世間に植え付けられています。特に男性職員の風当たりはそのたびに強くなってしまいます。当然ながら、すべての男性職員が犯罪予備軍ではなく、職業に誇りとやりがいをもって職務を全うしています。

これらの流れを考えると、高学年が学童を通う理由は④くらいなもので、あまり見当たらないように思います。それでも、「心配だから」や「学童が好きだから」と高学年になっても学童に入れる保護者さんはやはりいます。そして、学童としても「高学年」という存在はありがたいものです。

・下の子の見本になれる
・話が伝わりやすい
・お手伝いのレベルが高い  等ですね。

上記のことをするために、学童にいるわけではありませんが、実際やってくれると職員は本気で助かります。

私の学童では「当番活動」は取り入れていません。そうしなくても自然とお手伝いをしてくれる環境になっているからです。おやつの配膳、後片づけ、低学年の面倒を見る、等本当に助けられています。
ではなぜ、そのような環境になったのか。

それは、高学年活動の充実を私がずっとやってきたからです。

例えば、4~6月の間で高学年が行ってきた活動は

・販売活動(法人内の事業所や保護者の方に向けて販売する)
・クッキング(毎週土曜日、メニューも高学年が設定)
・職業インタビュー(1回目はカフェに行って、店長さんにインタビュー)
・高学年だけでお出かけ

くらいですか。夏休みは「平和学習ツアー(3日)」「高学年ペンション(2泊3日)」、「レジャープール」等、高学年だけの行事がたくさんあります。

もともと、行事の多い学童ではありますが、高学年行事の多さが彼ら・彼女らに充実感を与え、信頼関係を築く。お楽しみが多いから、普段の雑用(掃除や皿洗い、低学年の世話等)もお願いされただけで、たいていやってくれる。

高学年の雰囲気が良いから、下の子にも優しく接するし、下の子も慕う。結果的に学童全体の雰囲気が良くなる。高学年の雰囲気が学童の雰囲気を作ると私は思っています。

何より、高学年に必要なのは「保育」ではなく「教育」です。私たち外の世界の人間が子どもの内なる世界に影響を与えて可能性を見出すまたは、伸ばすことです。その思いが高学年活動の充実化につながっています。これは、学童の使命ではないかもしれません。でも、次世代を担う人間を育むことにはつながります。高学年の子たちが持つ「可能性」に私は好奇心を抑えきれないのです。

ちなみに、私の運営する学童では利用児童26人に対して高学年が7人(6年1人5年3人、4年3人)なので、比率的には高学年が高いと思います。高学年が学童での様子を学校や保護者に楽しそうに話すため、高学年の入所が増えました。

でも冷静に、高学年がいきいきして学童に通う光景ってほほえましくないですが??
自我が芽生え始め、大人より同年代との関わりを重んじる年ごろの子が、活動範囲が広く、スマホやゲーム機を使いこなす子が、この低学年が多く、同年代の子が少ない環境にも関わらず、楽しそうに「ただいま」といってくれる子たち。私はとても愛おしく思っています。

「来てくれてありがとう。あなたたちと一緒に過ごす時間をくれて。」

私はこんな思いなんです。高学年が学童にいることは当たり前ではないんです。学童で楽しんでくれた子、発達の遅れた子や親が心配性な子でも、一昔前までは通うことすらできなかったんですから。

前職場では、「高学年は下級生の見本となって、率先して大人のお手伝いをする。当番活動は絶対。」そんな学童でした。もちろん高学年の不満は日に日に増していきます。お楽しみっていっても長期休みに1度程度。さらに形骸化した企画では高学年はモチベーションを保てませんでした。というか「お楽しみのため」というモチベーションだけで取り組ませ、「高学年だから当たり前」と考えている職員の対応も問題だったと思います。

私の学童ではそんなことはさせません。常に「感謝」することを職員に伝えているからです。お手伝いをしてくれたら「ありがとう」という。もちろん、子供からのお願いは逆に子供に「ありがとう」というようアプローチします。大人が感謝できれば、それを近くで見ている子どもは自然と「ありがとう」が言えるようになる。そう信じています。そして、高頻度である高学年行事は子供たちの充実感を満たし「つぎは何だろう」とか「〇〇したい」という次につながっていきます。その次が体験的に近いから、モチベーションも保ちやすいし、大人のお願いを聞いてくれやすくなります。お互いに協力することが両方にとっていい結果になると感じているからです。

前職場での体験、私の子どもたちへの期待もあって高学年が頑張ってくれています。この環境を1年通して維持、そしてより良くしていくことが私の使命です。

最後に

~明日からできる高学年へのアプローチ


・話をする・しっかり聞く

→流していたり、興味なさそうな態度は伝わります。役者になったつもりでどう     でもいいような話を聞いてみましょう。また、思春期の子は怒りの感情に敏感なので、終始穏やかに抑揚等には気を付けましょう。

高学年の好きな遊びで遊ぶ
→宿題が難しくなったり、下校時間が遅かったりで高学年が学童にいる時間は短いです。その中で高学年と信頼関係を築いていくには支援員がたまにでいいので高学年の子の好きな遊びに付き合う事。それだけでもだいぶ距離は縮まります。

この2点は、明日からでも実行できるのではないでしょうか。
是非、よりよい学童づくりの参考になれば幸いです。

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